全国通訳案内士の資格は役立つ?全国通訳案内士と通訳案内士の違いって?

全国通訳案内士の資格は役立つ?全国通訳案内士と通訳案内士の違いって?

全国通訳案内士の資格が転職に役立つのか、またこの資格の活かし方や、全国通訳案内士と通訳案内士の違い、全国通訳案内士の資格概要などを解説していきます。

本記事でわかる事。
  • 全国通訳案内士とは?
  • 全国通訳案内士になるには?
  • 全国通訳案内士と通訳案内士の違い
  • 全国通訳案内士の資格は転職に役立つ?
  • 全国通訳案内士の資格の活かし方
  • 全国通訳案内士試験概要

上記の内容について解説していきます。



全国通訳案内士とは?


「通訳案内士」というお仕事はこれまであまり世間に浸透していませんでしたが、昨今のインバウンドの盛り上がりによって徐々に知名度を増してきています。

通訳案内士とは、簡潔に言うと、「訪日外国人のツアーガイド」です。

日本には、京都・奈良をはじめ、九州や北海道、そして東京や大阪など、外国人にとって魅力的な観光地が点在しています。

そして観光は、日本の経済を活性化させるために極めて重要な成長分野と位置付けられています。

外国人観光客が増えて、外貨を日本に落とせば経済が潤います。

電化製品やITの分野では既に諸外国に太刀打ちできなくなった日本にとって、観光分野は世界に対抗できる唯一の経済資源というワケです。

日本政府は「観光立国推進基本法」を施行し、「観光立国の実現」を目指しています。

具体的に、外国人観光客を東京オリンピックが開催される2020年までに4000万人、2030年までに6000万人の呼び込むという目標を掲げています。

※近年は残念ながら新型コロナウィルスの影響で、その計画は保留となっていますが…

訪日外国人の増加に伴い、注目を集めている国家資格が全国通訳案内士です。

全国通訳案内士は、日本を訪れる外国人の観光客に対して、日本の観光地を案内したり、旅行中のサポートをするのが仕事です。

単に通訳するだけじゃないのが重要なポイントです。

日本の歴史や地理にも精通し、風土や文化などの日本の魅力を外国語で説明しなければなりません。

そのため、外国語の知識だけあれば通訳案内士になれるのではなく、日本の魅力を伝えるための幅広い知識が必要にります。

全国通訳案内士になるには?


以前は、通訳案内士の資格を持っていないとお金をもらって通訳の業務はできませんでした。

ところが、観光客の急激な増加に対応するために、平成30年1月に通訳案内士法が改正され、誰でも無資格であっても、お金をもらって通訳案内業務ができるようになりました(後述します)。

ただし、「全国通訳案内士」と名札に印刷して名乗れるのは全国通訳案内士の国家試験に合格し、都道府県の登録を受けた人のみです。

つまり全国通訳案内士とは国が認めた名称独占資格です。

全国通訳案内士は、通訳案内士法において「報酬を得て、通訳案内(外国人に付き添い、外国語を用いて、旅行に関する案内をすることをいう。)を業とする。」と規定されています。

なぜ「全国」と付くのか?

改正前の通訳案内士法では、通訳案内士と規定されていましたが、特定の地域(観光地)を限定として活躍できる地域通訳案内士の制度もありました。

その後、通訳案内士の業務独占規制が廃止され、資格を有さない人であっても、有償で通訳案内業務がおこなえるようになるなど、通訳案内士制度が大きく変わりました。

これにより、通訳案内士の名称が地域通訳案内士と区別するために、頭に「全国」と付け「全国通訳案内士」と規定されるようになりました。

地域通訳案内士の制度は現在も存続しています。

全国通訳案内士と通訳案内士の違い

「通訳案内士」は「全国通訳案内士」とも呼ばれており、外国語を用いて旅行者を通訳案内し報酬を得る人のことです。

観光地を案内するだけでなく、観光情報と時事ネタとなどを混ぜて顧客を楽しませ、日本の魅力を伝えることを行います。

旅行をスムーズに行えるようホテルや飲食店の予約管理などの業務を行う場合もあります。

全国通訳案内士になるためには、国家試験に合格することが必須です。

国家試験は実際の業務に使う高度なリスニングやスピーキングの外国語能力だけに限らず、日本文化・歴史・地理・生活習慣・政治など観光に関わる高い知識を持ってプレゼンする能力も必要となります。

実質的には通訳案内士と全国通訳案内士の仕事内容は同じであるものの、資格の有無によって名乗っていいい名称が異なります。

それは「全国通訳案内士」は通訳案内士法の改正(2018年1月4日施行)によって一部変わったことがあり、改正となった背景と変更内容には以下があげられます。

訪日外国人旅行者の受入環境の整備を図るため、通訳案内士資格に係る規制を見直すとともに、旅行の安全や取引の公正を確保するため、旅行に関する企画・手配を行ういわゆるランドオペレーターの登録制度の創設等の措置を講じる「通訳案内士法及び旅行業法の一部を改正する法律」(平成29 年法律第50 号)が、昨年6月2日に公布され、本年1月4日に施行となりました。

法改正によってどのような変化があったのか紹介していきます。

通訳案内士法の改正前
  • 国家試験である「全国通訳案内士試験」で合格する者のみが、「通訳案内士」として名乗ることができた
  • 通訳案内士のみが訪日外国人旅行者を独占でガイドできた
  • 居住する都道府県知事の登録が必要
    
通訳案内士法の改正後
  • 国家試験の「全国通訳案内士試験」に合格した者は「通訳案内士」から「全国通訳案内士」と名称が変わった
  • 通訳案内士の資格を持たなくても、有料で訪日外国人旅行者をガイドすることが解禁
  • 通訳案内士の資格を持たない人は通訳案内士等の名称で名乗ることが出来ないが、「通訳ガイド」として活躍可能
  • 全国通訳案内士の合格後も5年ごとに研修を受ける必要があり、受けなければ登録抹消となる

また先述したように訪日外国人旅行者は拡大し続けているのにもかかわらず、法によって制限されていたことや資格取得さの難しさから、通訳ガイドの数が追いついていませんでした。

また通訳ガイドは資格を持った人のみができる、数少ない仕事でした。

しかし通訳案内士法の改正によって一部名称などの規制がありつつも、通訳ガイド人材を増やし、業務を行うハードルが低くなったことで多くの訪日外国人旅行者対応を目指しています。

通訳案内士は「全国」と「地域」の2種類がある

通訳案内士の仕事の中には「全国通訳案内士」「地域通訳案内士」の2種類があります。

大きな違いは資格の違いです。

まず「全国通訳案内士」になるためには難関の国家試験の全国通訳案内士試験を受ける必要があり、地域対象は全国となります。

2021年4月1日現在の登録者数は26,440人です。

一方で「地域通訳案内士」は都道府県の試験を受ける必要があり、外客来訪促進計画を策定した都道府県(地域)のみが対象です。

通訳ガイドとは

法律改正後「全国通訳案内士試験」の合格者は「全国通訳案内士」と名称されていますが、一般的に通訳案内士のことを通訳ガイドと呼ばれています。

または業務内容のことを通訳ガイドと呼びます。

全国通訳案内士の資格は転職に役立つ?


通訳案内士の資格は、難易度が高いワリには利用価値は低く、あまり役に立たない資格です。

通訳案内士専業であれば副業程度の収入しか期待できません。

リタイヤした高齢者や子育てが終わった女性向きです。

もちろん中には、外国人観光客の間で評判が口コミで広がり、引っ張りだこの通訳案内士もいます。

大手のホテルで富裕層を相手に専属の通訳案内士として稼いでいる人もいます。

しかし、多くの場合、通訳案内士の仕事だけでは生活は厳しいようです。

英語の通訳案内士の平均年収は150万円以下とも100万円以下とも言われています。

また、通訳案内士は就職や転職を有利にするための資格とも違います(後述します)。

例えば学生が通訳案内士を取得するより英検準1級やTOEICのハイスコアを目指して企業に就職する方が現実的です。

関連資格:英検(実用英語技能検定)とは、TOEICとは

通訳案内士の資格だけで生活している人は現実的に少数です。

企業の会議通訳や翻訳の仕事をしながら通訳案内士の仕事をしている人もいますが、資格を全く活かせない職場・職業に就いている人が圧倒的多数です。

全国通訳案内士の資格の活かし方


通訳案内士の合格率は10%ほどです。

難関の国家資格なのでそうそう合格できません。

そのため、学生のうちに合格すれば、旅行会社のような企業への就職はかなり有利になるメリットがあります。

社会人が取得すれば転職の際に履歴書に書いてアピールできます。

旅行業務取扱管理者の資格も取得すれば旅行業界への転職はかなり有利になるはずです。

関連資格:旅行業務取扱管理者とは

合格者は英検1級程度の実力がある証明になるので、一般企業へ転職する際も語学力をアピールできます。

通訳案内士として独立してやっていける人はほんの一握りです。

ほとんどはどこかの団体に登録して派遣のような形態で仕事をしています。

旅行会社に勤務する人もいます。

通訳案内士の資格を取得したら、とりあえずサラリーマンになっておくことです。

個人でいきなり本業として独立するよりも、まずは旅行会社に就職すれば、その後資格が生かせるチャンスも出てきます。

資格は「通訳+観光ガイド」のスキルを証明しているにすぎません。

稼げるかどうかは、本人の努力・人脈・センス次第です。

楽しい話術で外国人をもてなすユーモアのセンスも当然必要です。

仮にたどたどしい英語であったとしても、外国人ウケする観光ガイドなんていくらでもいます。

全国通訳案内士試験概要

全国通訳案内士試験概要を詳しくまとめました。

ホームページ・受験申込・問合せ

日本政府観光局(JNTO)

全国通訳案内士試験事務局(株式会社TKPコミュニケーションズ内)
050-3659-6494(10:00~17:00 土日祝、年末年始休業)

受験資格

制限なし
(口述試験は、筆記試験合格者のみ)

願書申込み受付期間

7月中旬~8月中旬頃まで

受験料

1カ国語受験につき、11,700円

身体上の障害等に係る特別措置について

身体の障がい等により特別な手配が必要な方は、必ず申請前に「全国通訳案内士試験事務局 03-3518-9018」まで連絡してください。

(申請後の受験科目、選択外国語、受験地、免除申請の追加、変更はできません。)

試験内容

筆記試験(40問程度/120分)

外国語(英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、中国語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、タイ語、韓国語から1つ選択)

午前
外国語(120分)
  • ① 英語(マークシート方式)
  • ② 中国語、韓国語(記述式及びマークシート方式)
  • ③ フランス語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、タイ語(記述式)
午後
  • ② 日本地理(マークシート方式/40分)
  • ③ 日本歴史(マークシート方式/40分)
  • ④ 産業・経済・政治及び、文化に関する一般常識(マークシート方式/20分)
  • ⑤ 通訳案内の実務(マークシート方式/20分)

口述試験(10分程度)

筆記試験で選択した外国語による通訳案内の現場で必要とされるコミュニケーションを図るための実践的な能力

免除(科目等)について

  1. 実用英語技能検定1級合格者は、英語が免除。
  2. TOEIC(下記①~③のいずれかに該当する者)は、英語が免除。
    ①Listening & Reading Test:900点以上
    ②Speaking Test:160点以上
    ③Writing Test:170点以上
    ※全て公開テストに限る。IPテストは対象外
  3. 実用フランス語技能検定試験1級合格者は、仏語が免除。
  4. スペイン語技能検定1級合格者は、西語が免除。
  5. DELE(下記①~③のいずれかの取得者は、西語が免除。
    ①DELE C1
    ②DELE C2
    ③CELE Superior
  6. ドイツ語技能検定試験11級合格者は、独語が免除。
  7. 中国語検定試験1級合格者は、中国語が免除。
  8. HSK6級:180点以上(旧HSK高等試験9級以上)の資格を有する者は、中国語が免除。
  9. 実用イタリア語検定試験1級合格者は、伊語が免除。
  10. ハングル能力検定試験1級合格者は、韓国語が免除。
  11. TOPIK(韓国語能力試験)6級取得者は、韓国語が免除。
  12. 総合旅行業務取扱管理者、国内旅行業務取扱管理者、一般旅行業務取扱主任者、一般旅行業務取扱主任者認定証保有者、国内旅行業務取扱主任者認定証保有者は、日本地理が免除。
    ※旅程管理主任者(ツアーコンダクター)の資格は対象外
  13. 歴史能力検定日本史1級、歴史能力検定日本史2級の取得者は、日本歴史が免除。
  14. 大学入試センター試験「日本史B」60点以上は、日本歴史が免除。
    ※独立行政法人大学入試センター法
  15. 大学入試センター試験「現代社会」80点以上は、一般常識が免除。
  16. 前年度、筆記試験で一部科目に合格の方は当該科目が免除。(外国語科目も前年度と同一外国語に限る)
  17. 前年度、筆記試験全科目(筆記試験、外国語、日本地理、日本歴史、一般常識、通訳案内の実務)に合格した者(口述試験が不合格もしくは、未受験者)は当該当該科目を免除。
    (前年度受検時に免除申請が含まれている場合は該当無し。外国語科目も前年度と同一外国語に限る、筆記試験合格証書を所持していること。)
  18. 前年度、全国通訳案内士試験の合格者で、他の外国語を受験する者は、日本地理、日本歴史、一般常識、通訳案内の実務が免除。
  19. 前々年度までに、通訳案内士試験の合格者で観光庁長官が行う研修を修了していない者は、他の外国語を受験する者は、日本地理、日本歴史、一般常識が免除。
  20. 前々年度までに、通訳案内士試験の合格者で観光庁長官が行う研修を修了した者は、他の外国語を受験する者は、日本地理、日本歴史、一般常識、通訳案内の実務が免除。
  21. 地域限定通訳案内士試験合格者は、当該外国語が免除。

※その他につきましては、通関士受験案内の免除申請早見表をご参照下さい。

試験日程

筆記試験・・・・9月下旬頃

口述試験・・・・12月中旬頃

受験地

筆記試験

英語・中国語・韓国語

札幌、東京近郊、大阪近郊、福岡、沖縄

フランス語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、タイ語

札幌、東京近郊、大阪近郊、福岡、沖縄

口述試験

英語・中国語・韓国語

東京近郊、大阪近郊

フランス語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、タイ語

東京近郊

合格基準

  • 外国語筆記試験

100点満点中、原則70点以上で合格となります。

  • 日本地理筆記試験

100点満点中、原則70点以上で合格となります。

  • 日本歴史筆記試験

100点満点中、原則70点以上で合格となります。

  • 一般常識試験

50点満点中、原則30点以上で合格となります。

  • 通訳案内の実務

50点満点中、原則30点以上で合格となります。

  • 口述試験

100点満点中、原則60点以上で合格となります。

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